ハイライト

01 本書の目的

今ある世界を踏襲して行けば、人類は近未来に高い確率で滅亡するリスクが推論されます。今ある世界とは、自然環境・生態系の破壊ありき、人種・民族、宗教、主権国家に由来する争いありき、科学の厄災化ありき、精神文明の未発達ありき、という負の要素の協演で成っている世界のことです。

従って、人類が滅亡を回避して存続し、この地上すなわち宇宙船地球号の中にこの世における理想郷を築くためには、我々は「今ある世界」のこれらの負の要素を解消して正の要素で成る「新しい世界」へ移行して行かなければなりません。新しい世界とは、自然が美しく生態系は生物に好都合に安定し、人間界には争いが無く恒久的な平和が訪れ、科学は間違いなく人間の幸福のみに貢献し、精神文明は発達し科学文明にも優位に立つ世界、すなわち理想郷のことです。

本書はこの夢を語っているものです。

02 自然環境・生態系

地球の自然環境・生態系が壊滅すれば人類は絶滅します。従って、生物にとって都合の良い生態系の保全は人類第1の命題でなければなりません。然るに、この人類第1の命題は主権国家第1の命題とは一致していません。なぜなら、数多ある主権国家にとっては自国の政治・経済・社会問題や国際問題・紛争の解決が最優先事項だからです。従って、生態系保全への世界各国の足並みはそろわず、遅々として進まない現実があります。

さりながら、このような、そしてどのような事情があろうとも、人類には“今” なさねばならない必須事項があります。それは、生物存続の基盤である生態系が壊滅に向かって止められない進行を開始する手前で損壊を止めることです。そうしておいて、生態系が生きている状態でその保全、原状回復、改善を第1命題に据えることのできる世界国家へバトンタッチしなければなりません。