医療における質の評価は?

まず医療の質の評価はどのように行われているのでしょうか? 病院Aと病院Bどちらの医療が優れているのか? そもそもブランド病院は本当に医療レベルが高いのでしょうか? その評価基準は、症例数、専門医の数、論文の数、医療者の人間性、療養環境、人の口コミ、週刊誌のランキングのいずれかでしょうか? スポーツの世界では、100mを9.5秒で走ることができれば、誰がどう見ても世界最速で、オリンピックで金メダルが取れますし、ゴルフ、テニス、野球、いずれの競技も客観的指標があり、質の評価は容易です。

芸術性が問われる体操、シンクロナイズドスイミング、フィギュアスケートなどで一部主観的な採点があるものの、スポーツでの質の評価は客観的で公正と言えます。一方で、レストランAとレストランBのどちらのフランス料理がおいしいか? ミシュランガイドやインターネットサイト「ぐるなび」の点数があるものの、味やサービスの評価は主観的です。

しかし、レストランAとレストランBと両方で食事をすればどちらが味が良くてサービスの質が高くコストパフォーマンスが良いかは、レストランAとレストランBを別の機会に体験して、異時性に比較できますが、胃癌の手術を病院Aと病院Bのどちらで施行するべきか迷った際に、レストランのように異時性に両方の病院で手術を受けて比較することはできません。

病院Aでうまくいかなかった手術が病院Bならうまくいったかどうかは誰にも分かりません。週刊誌の症例数ランキングで上位の病院が必ずしも良い成績とは限りませんし、大学教授やメディアに登場する有名医師が手術も上手とは限りません。このように医療の質を簡単に評価できないことが、ブランディング戦略を重視する要因です。