十五分ほど、ただ椅子をぐるぐると回し続ける。だがふとあることに気付き、椅子を回すのをやめた。電気がついていたら中に人がいると思って、その人は戸締りに来ないんじゃないか? しかしだからといって、電気を消した真っ暗な中で待っているのは嫌だった。それではあまりに怪し過ぎる。岳也は勢いよく立ちあがった。電気を消して部屋を出る。

五分ほどドアの前の壁にもたれて立っていたが、一体自分は何をしてるんだろう?という思いに突如かられ、馬鹿らしくなって一階に降りた。チップマンクの店員は、女の子からおじさんに替わっていた。夜のシフトに切り替わったのだろう。次は明るいうちに来よう、と岳也は思った。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『空虚成分』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。