くしゃみとルービックキューブ 5.

週一回、岳也は事務所を訪れた。そしてメールを開けて帰った。最初こそ怪しげに思えたこの作業も、何回か繰り返すうちになんとも思わなくなった。

仕事の期間は四ヶ月だった。月末には、ちゃんと銀行の口座に五万が振り込まれていた。ゴウコーポレーション、というのが振込み主だった。聞いたことのない名前だ。

通帳に印字されたゴウコーポレーションという文字と、四つゼロが並んだ五という数字を眺めながら、岳也は今まで自分がしてきたメールを開けるという行為が、この会社にどんな意味をもたらしたのかを考えてみた。考えてみた結果、やはりこの単純極まりない行為が、何かまったく別の意味を持っているような気がどうしてもするのだった。

「なあ、まさかとは思うけどさ」

スタジオで再会した拓未に岳也は言った。

「犯罪に関わってるとかないよな」なんだよ急に、と拓未は片目をすがめる。

「心配すんなよ。ちゃんとした人の紹介だから」

ちゃんとした人、と岳也は胸の内でひっそりと呟く。

「でも、バイトで知り合った派遣の、そのまた親戚から紹介されたんだろ? ちゃんとしてるかどうかなんて分かんないじゃん」
「何?」

拓未の声が尖った。