夫と訪れた日

夫と訪れた日 かあさんは
黒豆と小豆よりをしていた

「敏男ちゃん よく来てくれたね」

一粒一粒 話をしながらも
手は休むことなく 動いていた

その横顔は ひたいも ほっぺも 無数のしわが

この一本一本に
どれ程の物語が刻まれていたのか

敬老の日
かあさんの赤飯のことを ふと思い出した
せいろでふかした赤飯は おいしかった
あつあつでも さめても
私たちが行くことを 赤飯を作って 待っていてくれた
「美智子
オサクさんと妹さんたちにも持っていって食べさせ
仲良くやっていくんだよ」
帰りには 折につめて たくさん持たせてくれた

あの 日本一おいしい赤飯を もう一度食べたい