つまり、この扁桃体をいかに鎮めることができるかが人生のカギなのです。本書は感情制御の仕方をお伝えすることが目的ではありませんので、ここで少しだけ触れておきたいと思います。

みなさんにお伝えしたいのは、そもそも世の中は問題を含んでいるものと考えなければならないということです。何事もスムーズにはいかないところからスタートするのです。

自分の身に問題がふりかからないようにと願い、何も起こらないことを前提にしている人が多いので、かえって乗り越えられないのです。初動が間違っているのだと思います。

さまざまな問題がふりかかることを前提に構えれば、それが扁桃体を制御し、新皮質を活性化させるのです。ネガティブなことを予想し暗い人生を歩んでいる人がたくさんいます。

そうした人たちに私はいつもあるアイデアを提供しています。それが貯金箱です。何かを買うために貯金するわけではありません。自分の思考を改善するために使うのです。

人間は否定的な言葉を使えば、否定的な性格になってしまいます。たとえ発しなくても否定的な言葉を思い浮かべるだけで、それが問題解決の壁となり、私たちの前に立ちはだかります。

これを避けるために、貯金箱を使うのです。「だめだ」「できない」「難しい」「やったことがない」などというネガティブな言葉を思い浮かべたら、100円を貯金箱に入れるのです。貯まった貯金はあなたの成長の財産となり、これを習慣にすればきっとポジティブな思考を手に入れられるはずです。