これは非常に大切な視点だと思います。なぜならダイナマイトも、工事現場で使えば人を喜ばせるものになりますが、悪用すれば人を殺すこともできます。勉強で得た知識は人を不幸にもするということです。

知識自体に善悪はありません。それを使う人間が、善い方向に使うか、悪用するかが問題です。つまり、勉強したことが、自分自身とどのようにつながり、社会にどのように貢献できるのかを考えることが大切なのです。

最近の日本では、知識ばかりを問うクイズ番組も多いのですが、私は知識量だけを誇る風潮に疑問を感じます。私の場合、「人はなんのために学ぶのか」ということを子どもと一緒に考えるようにしています。

その最後には、「世界的に見れば、勉強したくても環境が整っていない人たちがまだまだたくさんいます。これから君たちは、その気になればいつでも勉強できる恵まれた環境でたくさんの知識を得るでしょう。でも、自分に知識があるからといって、自分さえよければいいと考えたり、周りの人を見下したり、威張ったりしてほしくはありません。ぜひ、君たちが得た知識を、近くの人を喜ばせるために使ったり、世界の平和のために使ったりしてください」と話しています。

※本記事は、2020年10月刊行の書籍『教師は学校をあきらめない! 子どもたちを幸せにする教育哲学』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。