ブルーストッキング・ガールズ

6

「美津ちゃんきっと良くなるよ。立派なお医者さんもついてるし、高いお薬だって飲んでる。そして優しいご両親もおられる。そして何より、このトメちゃんがついている。悪くなんてなるはずないわ」
「う……うん」

トメは眉間にしわを寄せ、急にきびしい顔になった。

「こんな暮らしをしていて、良くならなかったらそれこそ贅沢だわ。弱音なんて吐いちゃだめ……私の弟は去年病気で死んだんだ。お医者さんにも診てもらえないで、もがき苦しんだ。血もいっぱい吐いた。みるみる痩せて青ざめて、こんどは顔が赤く浮腫(むく)んで、そして最期にすーっとさめるように白くなった。私は手を握ることしかできなかった。手を握って一生懸命さすってやることしかできなかった。少しだけ口元が緩んだような気がした。この世に繫ぎ止めようと手をさするんだけど、すーっと私の手から離れていくのが分かった。……ミッちゃんは私が守る。絶対守る」
「うん……」

トメはにっこり笑った。

「こんな天国のような暮らしをしていて、何が病気よ、何が私駄目よ! 小説の主人公じゃないのよ」
「うん」