第二章 教育の目的は子どもの幸せ

(2)今の教育は「子どもの幸せ」を目的としているのか

では、現在の国が進める教育改革はどうでしょう。2020年度から小学校で新学習指導要領が全面実施になるわけですが、その中では「プログラミング学習を取り入れよう」とか「小学校3年生から英語教育をはじめよう」という話になっています(プログラミング学習に関しては、論理的な思考力を身につけることを目指しているそうです)。

これらを使いこなす能力がこれからの時代に大切なのはもちろんわかります。基本的に賛成です。しかし、ここで大切なことは、「なんのためにこれらの改革を進めているのか」ということです。

それはIT化とグローバル化の中でも、世界の先進国に遅れをとらず、活躍できる人を育てることでしょう。であるならば、やり方は慎重に考えなければならないと思います。

興味のない子はどうするのか。うまく適応できずに自信を失う子はどうするのか。それを教える側の人材の確保はどうするのか。

現状ですら、今の学校教育で与えられたものをうまく消化できずに困っている子が現場にはたくさんいます。いくら子どもによいものだと言っても、消化しきれないものを無理やり与え続ければ、子どもがパンクしてしまいます。それが現在教育界で問題になっていることを引き起こしている原因になっているのではないでしょうか。

現に、不登校や子どものうつ病といった問題が深刻になってきているのも、このように「社会に必要な人を育てる」という教育の弊害だと思っています。新しいことをはじめるのも大切ですが、これ以上苦しむ子どもから目をそらしていてよいのでしょうか。このように、いまだ教育の目的が、「子どもの幸せ」になっているとはいえないのではないでしょうか。