セットリストNo.2(第二章)

19 No Parking–Midnight Star

マライヤは、六本木本通りに面した場所にある普通の喫茶店。いつもなら、お店の前に、露天の花屋が出ているんだけど、今夜は日曜日だからかな? 出ていない。

片山からの電話のあと20分経ってから、自分のお店を出た。マライヤのドアを開けて、店内を見回した。

そして、客の姿もまばらな店内へ入っていくと、片山と連れの女の子は奥のテーブルにいた。

翔一は、片山のテーブルに近づいて「片ちゃーん、食い貯め?」と言った。すると、むせそうになったのか急いで水を飲み「変なこと言わないでよー」と、言って彼は笑っていたが、頰のあたりが引き攣っていた。

『まだ、現物(S)を目の前に出してないからああして、食べてられるんだろうけど、半分残ってる今、もしもこれを見せたなら、食欲なんてどこかへ、ふっとんでっちゃうんだろうなぁ、きっと』

「早く食べちゃいなよ、話はそれから」

両方のほっぺたを膨らませたまま自分を見ている片山に言った。ふき出しそうになるのを我慢しながら。

翔一が来ると、速攻で片山は食事を終わらせた。たばこで一息ついてるときに、翔一は話しながら、片山の目に視線を合わせ彼が気付いた直後、テーブルの下に目線を動かした。