もともと好戦的な性格かつ、私を目の敵にしている。もし私の不倫の尻尾を掴み、旦那に優位な形で離婚が成立すればこれほど嬉しいことはないであろう。その為には金に糸目はつけないかもしれない。このタイミングでの一泊旅行は、やはり気が引けた。

「初めてだし、まずは普通が良いです。温泉旅館はまた今度ゆっくり」

私はそう言って電話を切った。ショウ君と出会ってから、色んな話をした。一通りお互いのことが分かり、会話もいっときほどは盛り上がらなくなった。

きっと切り込んだ話をしていないせいであろう。もっと普通の会話をしようと約束したが、結局今まで私が話したことは全て、まるで近所のおばさんと天気の話をする時のように上辺のものだった。

風俗で出会ったのに、いつの間にか私が風俗嬢であるという話も一切しなくなっていた。それはふたりの恋路を興ざめさせる話題だったからだ。ショウ君は私に好きだと言った。しかし、風俗で働くことを辞めて欲しいとは言わない。

それは風俗を仕事として認めてくれているからなのか。
それとも……。

結婚していることも、話せばショウ君はすぐに私の元から去るかもしれない。いずれ話さねばならないことはもちろん分かっている。

しかし今はまだその時ではない。

一つになりたい。心も身体も。ショウ君とのセックスを想像して何度マスターベーションをしたことだろう。私も、もう我慢の限界だった。

※本記事は、2020年9月刊行の書籍『不倫の何がいけないの?』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。