そもそもそういう人には引き出しの数自体が少ないのですから、施錠されてしまうと対応する引き出しがなくなってしまい頭が混乱してしまいます。

そうならない人は引き出しの数が多いので多少の鍵がかかってしまってもまだ他に引き出しが残っているので、他の引き出しを開けることによって対応していきます。

外側のルールばかり作ったり変えたりするだけではなく、自分自身や周りにいる人たち、それを取り巻く環境など、そういった諸々の問題も変えていかなければパワハラやセクハラ、うつ病などといったものは増えていく一方でしょうね。ですから、うつ病の薬なんか処方されても完治するわけがありません。一時的に良くなったとしてもまた繰り返します。

中村:そうなんですね。うつ病に使う薬は、やはり効かないんですかね?

溝口:効かないというより、精神的疾患がどのようなメカニズムで発症し、処方した薬が脳にどのような化学反応を起こし、どのようにコントロールしていくのか、完璧に正しく説明できる医者はほとんどいません。

なのに、抗うつ病の薬をマニュアル通りに処方し、「定期的に通ってください」と指示するだけ。うつ病の薬を服用したことでいろんな副作用が報告されていますが、その副作用についてもきちんと説明できる医者はあまりいないでしょうね。でも飲ませ続けている医者がたくさんいます。

中村:うつ病以外にも最近は睡眠障害の方も多いと聞きますが。

溝口:睡眠障害患者に、すぐに睡眠薬を処方する医者がいますが、なぜ睡眠障害に陥ったのか? その原因をきちんと追究した上での処方ならいいのですが、ちょっとした問診程度のみで薬を処方するからおかしなことになるのです。

原因が自律神経の不調からきているものなのか、生活環境からなのか、何らかの精神的ショックによって起きているものなのか、よくヒアリングして、まずは該当する問題に応じた段階的な治療を施すことです。

その後、状態や症状を見極めながら最後に薬の投与という順番で治療していくのが妥当です。自分の力ではなく薬の力で調節、調整するわけですから、たとえ睡眠障害が改善されたとしてもずっとその薬を服用し続けなければいけないということになります。

私の場合は鍼治療や運動療法、食事療法などで自律神経を整え、自分の力で調節、調整できるような体にしていきます。

体の変調を薬理学的に細胞内からだけでアプローチするのではなく、細胞外からもアプローチしていかなければ調和が取れていきません。もちろん、生活環境(食事、運動など)も変えていく必要があります。

※本記事は、2019年4月刊行の書籍『ゴッドハンドが語るスポーツと医療』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。