特定保健指導では栄養士による健康指導が行われています。また糖尿病指導の強化のため県単位の糖尿病療養指導士の養成強化も進められています。しかしなかなか思うように医療費抑制に結びついていません。特定保健指導導入のきっかけになった厚生労働省のヘルスアップモデル事業後坂下病院では「生活習慣病外来」を設置しました。

薬は一切使用せず生活指導、食事指導のみの外来でした。医師不足の中で生活習慣病外来は残念ながら中止せざるを得なくなりました。しかしこの外来経験を通して生活習慣病では薬を使用しなくても適切な指導が行われれば改善が望まれる検証ができました。そのような実績に基づいての重点指導です。

もう一つヘルスアップモデル事業後に当院で継続しているものがあります。週6回開催される運動教室です。このうち2回は夜間開催です。この教室では肥満予防、腰痛予防など対象者に応じ、運動指導士がそれぞれメニューを作成し適切な運動ができるようになっています。

このような運動教室、重点指導を通じ、画一的ではなくそれぞれの方における問題点をしっかり把握し、指導することが大切なことが明らかになっています。

データだけを見ていると指導はとかく画一的になりがちです。同じA1C7%であっても肥満が高度である方の7%とやせた方の7%では自ずから生活指導、栄養指導の内容も変わって来なければなりません。

Mさんに続いて入って来たOさん。重点指導の結果昼の血糖が下がっていることが明らかになり、インスリン投与量の見直しが行われることになりました。前述のように現在までの経験では適切な指導を行えば、薬剤の強化投与を行わなくても糖尿病を良好な状態に持っていけることが明らかです。

しかしこのような指導は時間と労力を要します。残念ながら生活習慣病外来や重点指導は医療保険の中で適切に評価されているとは言えません。このような指導を広く普及させるためにもきちんと評価していくことが必要です。

※本記事は、2020年6月刊行の書籍『新・健康夜咄』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。