2月20日(土)

ブルックナー交響曲第9番

ダニエル・バレンボイム&シュターツカペレ・ベルリンによるブルックナー・ツィクルス、今日が最終である。14時開演、あい子も同行した。

ただ、並びの席ではなかった。ツィクルス全体を購入した者には全期間、同一席が確保される。それなりに良い席である。

単発券は少し条件が落ちる。私はあい子に私の席を与え、私は反対側の、ステージに向かって左側に座った。

悪い席というのでもなかった。指揮者の出入り口に近く、今日は必ずスタンディングオベーションになるから、何度も出入りするであろうバレンさんを、間近に見ることのできる場所であった。

今日は私たち家族の友だち、Fさんも来ていた。数日前それを知って、終演後出口で会おうと約束していた。

素晴らしい男であったF氏の未亡人である。目的はモーツァルトのピアノ・コンツェルトであるらしかった。27番(初日)か23番(最終日)か迷ったが、23番を選んだと言った。

このピアノ・コンツェルトの第2楽章は、美しい。しっとりとした、情感に満ちた旋律である。カール・ベームであったと思うが、こんなことを語っていたと記憶する。

「モーツァルトにはすべてがある。喜びも悲しみも怒りも、希望も絶望も。ただ一つ、センチメンタリズムを除いて。」

バレンボイムのピアノは天使の憂いを思わせる。しかしモーツァルトにセンチメンタリズムはない。ただひたすら美しい。