二、祖父母から礼儀と躾を厳しく教えられた

棚橋家の跡取りとなる私は、祖父母に幼少の頃から礼儀作法と躾を厳しく指導された。特に人間関係の基本である「はい」「すみません」「ありがとう」の三つの言葉が素直に言えるまで、やかましく注意された。また、「はい」を口ごもったり、ハキハキしなかったら、「もっと大きな声で、『はい』と言いなさい」と叱られた。

あるとき、祖父と約束をさせられたことがあった。悪いことをしたとき最初は口頭で注意されるが、三度目も同じことをすると体罰を与えられることだった。

また、毎食事のとき、正座し感謝の気持ちを込めて手を合わせ「いただきます」「ごちそうさまでした」と言いなさいと教えられた。私はなぜか恥ずかしくてなかなか言えなかった。最初は口で注意された。三度目になると、「正夫。何度言ったら分かるんや」と容赦なく、祖父の平手が飛んできた。「おじいちゃん。ごめんなさい。ちゃんと言います」と泣いたことを今でも覚えている。

特に「約束」を破ったときは、一番厳しかった。「外出から帰れば手を洗う」「遊びに行く前に、勉強の予習、復習をする」など、祖父と約束をした。

それを破ると三度目には、ご飯を食べさせてもらえなかったり、押さえつけられて首の後ろにお灸をすえられたこともあった。本人を戒め習慣化させるための躾なので、体罰を受けても当然だと思っていた。

ある日、祖父に叱られ叩かれて泣いた。すると、いつも祖母が介抱してくれた。

「おじいちゃんは、お前のためを思って叩いたんだよ。痛かったね。もうしないね」と優しく抱き寄せ泣きやむまで頭を撫でていてくれた。泣きやみ落ち着くと、必ず祖母が言う言葉があった。

「正夫。おじいちゃんから何で叱られたの?」と優しく問いかけられた。「○○して、叱られた」と言うと、「そうだね。良く言うた。もう、しないね」「はい」と言わされた。必ず、「自分が悪いことをしたから叱られた」を自覚させられていた。

※本記事は、2020年8月刊行の書籍『戦争を知らない君へ』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。