島と大陸

友人の言葉

大陸の中心に住んでいる人たちはネコ党を演じ、なぜかその人たちの近くにいるとムカデ党になったりネコ党になったりするようになります。その人たちはムカデ党の時は調子がよく、自分の才能が百パーセント発揮できます。さらに彼らは自分がムカデ党の時に、周りの人がとても喜ぶのでムカデ党になりたくなってしまいます。

そしてある日、いきなり彼らはムカデ党の僕が嫌いだと言ってきます。さらにずっと前からそれを我慢していたと言うのです。それからはその人たちと口喧嘩していると自分が悪人であるような気がしてきます。

さらに、そのあと殺人をしてしまうと、誰が何と言おうと悪人です。もしあなたが大陸の中心に行くことになったら、大陸の中心にいる人たちの一番怖いところは、その人たちが悪人で、善人のあなたを傷つけるところではなく、あなたが悪人にされてしまうところであることを、覚えておいてください。それから、その人たちはあくまでもイヌ党かタコ党であることを忘れないでください。

脱走

僕は絶対に大陸の中心に住んでいる人たちを信じませんでした。僕は大陸に来てからすぐに逃げることを考えました。一か月に一度大勢の人が一緒に大陸から逃げると聞き、僕もそれに参加しました。

何度逃げようとしても罰は受けないので、安心して逃げることができ、監視されると研究などに集中できないから、彼らは監視をしないので逃げやすいのです。

相手も逃げられないように色々工夫するのですが、それでも脱走が成功する人数は全体の十五パーセントくらいだそうです。僕と一緒に脱走する人たちは全員殺人をしたことがあるらしいです。今までに殺人をしないで島に帰ろうとした人が全部で二人いたそうなのですが、二人とも捕まってしまったらしいです。

つまり、もし僕が成功する十五パーセントに入れたら、初めて大陸の中心に行って、人を殺さなかったネコ党の人になるということです。僕は逃げられました。

島に帰ってもまた大陸に住んでいる人たちに捕まるかもしれないので、僕はもっと大陸から遠くへ引っ越さなければなりませんでした。僕の噂は大陸の反対側の島まで一瞬で広がり、みんな僕を匿ってくれたので、意外と簡単に逃げられました。

僕の居場所

僕は大陸に住んでいる人たちが来ることができないくらい遠くの島に住みました。そこは文明があまり進んでおらず、とても寒く、人が少ない島でしたが、元の島よりも少しだけ安心できるような気がしました。僕は中途半端なネコ党で、とても弱い人間だと思っていましたが、今は誰よりも強く、自分は一番ネコ党らしい人間であることに気づきました。

大陸の中心にいる人たちは一番弱い人だと思います。彼らはいざという時、強いですが、それは弱いからだと思います。余裕があるときに輝いているのが人間だと思います。

まさかとは思うけれど、彼らはこの世に悪人がいると思っているのでしょうか。正義を持っていない人というのは、嬉しいとか悲しいなどの感情を持っていないくらい、あり得ません。

あまり自分が完璧だと思うことは良くないですが、こうでも言わないとやっていけません。否定することも良くないですが「世の中で否定して良いことは否定することだけ」なので、これがネコ党の僕たちがこの世界でたった一つだけの「否定して良いこと」なのです。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和晩年』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。