島と大陸

再会

ある日、イヌ党の友人が、僕とネコ党の友人に会いに、僕たちが住んでいる島に来ました。三か月ぶりに友人と再会できて、とても嬉しかったです。彼はタコ党になっていました。タコ党の友人は僕たちに、大陸で住むことを勧めましたが、僕たちは断りました。僕たちは彼に島に住むことを勧めましたが、彼は断りました。彼は一週間、島に滞在して、帰ってしまいました。彼とはもう会うことはありませんでした。

別れ

タコ党の友人が大陸に帰ってから一年後に、大陸に住んでいる人たちがネコ党の友人を大陸の中心に連れていくために島に来ました。彼は嫌がりましたが、強制的に連れていかれてしまいました。島に住んでいる人たちの話によると、大陸の中心に連れていかれた人は必ずムカデ党になってしまい周りの人を殺してしまうそうですが、僕は彼がそんなことは絶対にしないと信じていました。

新大陸

ある日、南にある島に住んでいる人が航海に出ました。そして、新しい大陸を見つけて帰ってきたのです。その大陸は僕たちの大陸と同じくらい文明が進んでいて、同じ円形で周りに小さい島がたくさんあるそうです。その島に住んでいる人たちはネコ党とムカデ党と同じような考え方で、大陸に住んでいる人たちはタコ党と同じような考え方でした。やがて、二つの大陸は仲良くなり、貿易を始めました。

不幸な人

それから数年後、ネコ党の友人が島に帰ってきました。彼は何でも自分のことばかり考えるムカデ党になっていました。さらに大陸で殺人もしてしまいました。僕は彼をどうしても許せませんでしたが、島に住んでいる人たちは許しました。ムカデ党の友人はネコ党に戻りましたが、僕はやっぱり許してあげればよかったかもしれないと、後で何度も後悔しました。 戦争大陸に住んでいる人たちの九割以上がタコ党になった頃です。二つの大陸の仲が悪くなってきました。大陸を見つけてから十年目に、とうとう二つの大陸は戦争を始めました。大陸に住んでいる人たちは誰もが、戦争に勝つために少しでも役に立てるなら自分の命を捨ててもいいと思っていました。楽な正義戦争は三年間も続きました。相手の大陸は民間人を攻撃するなど、卑怯なことをするので僕たちの大陸は負けました。すると僕たちの大陸に住んでいる人たちは、すぐに相手の大陸の考えが正しいと思い始めました。自分たちの正義が勝つためなら、死んでもいいと思っていたくらいなのに、簡単に考え方が変わりました。そういえばイヌ党やタコ党の人は簡単に考え方が変わります。さらにその考え方が正しいのか間違っているのかは考えずに、ひたすらその考え方を実行します。昔だと暴力は悪い人にはふるっても良いという考え方だったのに、最近は悪い人には話し合いをし、論破し、説得し、諭します。昔だと女の人は静かで淑やかな人が良かったのに、最近は元気でおてんばなほうが良いのです。戦争をしていた時は誰もが戦争は正しいと思っていたのに、今は誰もが戦争はいけないと思っています。こんなに考え方が変わるのに、なぜイヌ党やタコ党の人は、今の考えが本当に合っているのだろうかと少しも疑わないのでしょうか。戦争はいけないとは思いますが、 常に戦争はいけないと思っている人も、常に戦争は正しいと思っている人も、イヌ党やタコ党に一人くらいいそうだと思いますが、そんな人は一人もいないようです。

偶然

戦争が終わるとタコ党の友人が心配だったので、僕はもう一度大陸へ行きました。彼は生きていたのですが、引っ越してしまい、場所がわからなかったので再会はできませんでした。僕は正義感が強い人を演じることが前よりもうまくなっていて、美男ということもあり、大陸に住んでいる人たちは、前よりは僕のことを変人だと思わなくなりました。さらに彼らはなぜそんなに良い人なのに島に住んでいるのかと聞いてきて、大陸に住むことを勧めてきました。その人たちは、タコ党ばかりでしたが、イヌ党も何人かいました。僕の予想だと、タコ党の人たちは僕が不細工だったら大陸に住むことをもっと勧めてきたと思います。大陸にいると、だんだん自分がイヌ党になってしまうような気がしたので、すぐに島へ帰りました。

大陸の中心

その頃大陸に住んでいる人たちが僕を大陸の中心に連れていくために島に来ていました。僕は強制的に大陸の中心に連れていかれました。大陸に住んでいる人たちは、ただでさえイヌ党やタコ党 で気が合わないのに、その人たちが尊敬し、目指している中心に住んでいる人たちはどんなに怖いだろうかと思っていましたが、彼らは顔が綺麗なだけで、ネコ党ばかりでした。しかし僕はネコ党の友人が言っていたことを思い出しました。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和晩年』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。