治療もできる内視鏡で高齢の方も手術を免れた

何年か前に胃に早期がんが見つかり、私が治療した女性がいました。そして再び胃に別のがんが見つかったのが間もなく90歳になろうかというときです。

幸いがんの深さは深くないものの、胃の出口から十二指腸にまで及んで横に広がっていて、内視鏡治療か手術のどちらかを選択するのか難しいケースでした。手術の場合、胃の3分の2位を取らなくてはならないので、年齢的に負担が大きすぎます。

一方、内視鏡治療をするには病変が大きすぎる。そういったことでご本人や家族と話し合いを進めながらも、もう少し病変をよく判断するために、CTを撮ったのです。すると今度は乳がんが見つかり、その手術を優先しました。その後、不整脈もあり心臓の治療を経て、「ここまで治療を頑張ってきたのだから、やっぱり胃がんを取り除いてほしい」という強い要望があったのです。

そこで体の負担を第一に考慮して内視鏡治療に踏み切りました。胃の出口から十二指腸の一部に広がる比較的大きな病変でしたが、十二指腸に広がった腫瘍も取り残すことなく切除でき、合併症もなく、無事予定どおりの治療経過で退院されたのです。

しばらくして感謝のお手紙をいただきました。

治療後の様子を伺うとともに手紙へのお礼の電話をしました。すると、「元気で食欲も落ちていません。さまざまな治療を乗り越えて病気のないきれいな体になったので、100歳までは生きられそうです」と。そのお声からも元気な様子が伝わってきて、ほっとしたのを覚えています。

もし手術をして胃を切除していたら、おそらく体重は10kg近く減り、食べる量は激減、体力も急激に落ちてしまうことは想像するに難くありません。内視鏡は検査だけでなく、こうして胃を切除しない治療ができることも特長のひとつです。