いつもの一人のヘルパー体制ではもしアクシデントが出態したとき、とても一人では対応できないので、ケアマネージャーにお願いをして、ヘルパーの二人体制をとっていただきました。確かに、いつもは、ヘルパーさんは一人であっても、家族が必ず一人以上家にいるので、何があっても二人以上で対応ができるようになっています。

ですがこの日は家族が誰も家にいないので一朝事が起きた場合、病人の様子を見ながらあちこちに連絡を取ったり、通報したりすることはとても不可能で、危険です。そこでケアマネージャーにお願いをして、ヘルパーさんを二人にしていただき、安心して出かけました。

ところが、私たち家族が昼の十二時ごろ帰宅してみますと、ヘルパーさんは一人しかいないのです。しっかりヘルパーさん二人で家族の留守を守ってくれているとばかり思っていた私たちは、びっくりしてしまいました。一人でいたヘルパーさんは、いわゆる「サービス提供責任者」という立場の人です。

私たちがどうして一人しかいないのかその理由を聞いてみますと、その事業所の受け持ち時間は十一時から十二時三十分までと、十二時三十分から十四時四十分までとなっているのです。

「だから、一人は十二時三十分で帰りました」

とその責任者はこともなげに、いとも簡単に答えるのでした。私たち家族にとっては、今まで家に家族が誰もいないという状態にしたことがなかったので、とにかく夫が心配で、ヘルパーの二人体制をお願いしたものの、万が一のことがあってはと気もそぞろで

(とにかく早く家に着かなくては)

という気持ちの焦りに急きたてられて、二時までという予定をずっと切り上げて、早く帰ってきたのでした。

まず、何はともかく留守中何もなくてよかったと胸をなでおろしたものでした。このヘルパーさん、何もありもしないのに私たちのあわてぶりが滑稽だったことでしょう。ポカンとした顔をしていました。私たちはけっこう『思い込み』として、自分ではしっかり判っているつもりでも、相手にそれが伝わっていないことがあるものだとつくづく思い知らされました。