筋萎縮性側索硬化症患者の介護記録――踏み切った在宅介護

命の片道切符

『読売ジャイアンツ原辰徳監督に会いに行こうツアー』 二○一三 秋

(九) 帰りなん、いざ。

私たちケアマネ、先導チームは往きと同じく一足先に出発することになりました。途中心配をした車の渋滞もなく、とてもスムーズに進みました。先に出た私達が一行の車に市内で抜かれ、山陽道上では介護タクシーより後になってしまいました。

休憩所で合流しましたが、車中は同乗のみなさんが楽しい雰囲気作りをしてくださったようで、夫は疲れた様子も見せず、ニコニコととてもご機嫌でした。さすが在宅医をご選考の角川先生、心のケアもきちんと計算なさっていらっしゃると家族と帰ってから話しました。

家についた時も、夫はというと発症以来の長旅であり、しかも車の旅であったのでさぞや・・・と思っておりましたのに、いつもの様に変わらずのんびりした顔をしておりました。むしろ同乗のみなさまの方が気疲れでしょう。とても疲れたような顔をなさっていらっしゃいました。

帰りは、往きの新幹線より揺れも少なく、乗り心地の良いタクシーだったのでとても快適だったと娘も話しておりました。所要時間はホテルからわが家まで三時間でした。はじめの段階での車の揺れ、渋滞など杞憂という嬉しい誤算となりました。

いつもベッドにベッタリとくくりつけられている夫にとっては、良い命の洗濯になったのではないかと家族として自画自賛しております。みなさま、ありがとうございます。

(十)《介護の心》満載の介護タクシー

この度の介護タクシーは、広島県ALS協会役員のご紹介だったのですが、これが本当の《介護の心》だと思わされた介護タクシーだったと随行してくださったみなさま全員が口を揃えて絶賛することしきりなのです。さすが介護の大先輩日本ALS協会広島県支部の方々のご推薦だけあるとその紹介者も褒められるほどでした。

実は、初めは家においては、入院の時以外は介護タクシーを利用したことがなかったので、家族としては長距離でもありとても心配しておりました。

しかし、この日の介護タクシー運転手氏の細やかに行き届いた優しいお心遣いが、その心配を吹き飛ばしてくださいました。とにかく病人を疲れさせないようにという心配りが、この運転手氏からは見て取れ、気持ち良かったと娘も息子も口を極めて褒めておりました。