第1章  令和の今、行政改革最高のチャンス

医療、介護分野

しかし、国の進める人生会議の試みを先取りしている地域がある。癌や心不全などの終末期的状態の患者さんや高齢者の独居、認知症の方、老々介護の方などが急に心肺停止に近い状態に陥って救急車が呼ばれた時、まず冷蔵庫を開けて中を確認、そして自己決定の意思表明書の有無を見て何も希望しない、医学的にはDNR(蘇生不要)と記入していれば蘇生措置は取らずに引き上げる。

この仕組みをメディカルコントロール連絡会議という医療機関や消防、保健所、行政、老人会など自治会との会議で決めているのである。私自身、遠縁の者が二千日間も胃瘻からの流入食、注射や点滴、人工呼吸で延命したのを知っており、自分がそうなった場合にどうするかを考えているところである。

親類のこの例は、我々が一卵性母娘と呼ぶ一人娘と母の患者との2人暮らしで一日でも長くと毎朝や夕方、時には泊まり込みで看病していたこともあって病院としては消極的安楽死は採れなかったのである。なお、その病院の女性院長の話では、同じように植物人間状態で三千日の方が当時在院しており、親類の人は2番目とのことであった。

これらの医療費はどう考えれば良いのであろうか? 我々一人一人が考えるべき時期に来ている。知らず知らずに負債を子孫に付け続ける事にならないためにも。

社会保障分野ではもう一つの大きな問題がクローズアップされている。支え手の人が足りないのである。特に労働環境や低賃金、遣り甲斐が少ないと思われている介護現場では深刻で、空き室があるのに入所できない施設も多い。

ASEAN諸国からの人材導入に踏み切らざるを得ないとの悲痛な叫びも聞こえる。とにかく少子化による人口減が3K、5Kなどと呼ばれる深夜業や地味な作業の多い職場を蝕んでおり、一足先に外国人が多い。私が勤務する赤穂市でも牡蠣むきの番小屋からは日本語以外の言語が聞こえてくる。

海運業界に外国人労働者が多いことは色々な海運事故のニュース時の映像や報道でよく知っていたが、外国人労働者の割合が一番多いのは漁業だそうである。漁師の後継者不足は200海里条約で北洋漁業が衰退。釧路や根室、函館、網走、稚内は大打撃。中国や台湾、南北両朝鮮の進出乱獲による漁獲高の激減。極めつけは中国漁船によるサンゴの密漁であった。

日本海でも豊富な漁場である「大和堆」が北朝鮮漁船に侵されている。ただでさえ天候に左右され生命の危険も多い職業である。最近の若者が敬遠し、外国人の労働に頼らざるを得ないのであろう。

ここはハマチやホタテのような養殖に転換、活路を見い出すしかないようである。近畿大学の近大マグロや鰻味の鯰、宮崎県の淡水キャビア、瀬戸内の鯛などに期待したい。

国際的評価の高い和食の大きな柱である海産物は海洋日本の大きな宝物であり、東京湾の底物のアナゴやシャコ、瀬戸内のオコゼやメバル、ママカリ、駿河湾の桜エビ、琵琶湖の鮎にモロコ、にごり鮒なども是非とも再び脚光を浴びてほしいものである。宍道湖のシジミや白魚、高知のドロメなども同様である。

私共の医療・介護分野も外国人の方々に頼らざるを得なくなってきた。今のままでは子供の5人に1人が、女の子の2人のうち1人が看護師さんなどにならないと医療・介護はもたないという推計である。40人学級で8人もの子供が男女を問わずになってもらえるとは到底思えない。

介護は更に厳しい離職率である。賃金などの処遇が悪い、キャリアアップのラダーが未確定、夜間に少人数勤務、やりがい感が少ないなどが離職の理由である。

※本記事は、2020年2月刊行の書籍『令和の改新 日本列島再輝論』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。