その二日後、国家戦略企画研究所の理事長室で最初の与党議員の面接が行われた。

この議員は静岡選出で公募候補者として与党から初出馬して初陣を飾ったがある法案で造反し、与党から離党し、無所属で選挙戦に臨む事となり与党が立てた刺客候補によって、落選の憂き目に遭い、その後捲土重来を期した選挙戦で大勝した後は、連続五回対立候補の倍以上の得票で当選を重ねてきた。その為与党の中で三本指に入る選挙上手と言われていた。

その議員とはこんなやり取りがあった。

「えっ、領収書不要の文書滞在交通費の詳細な支出明細を提出しなければならないのですか?……厳しいなーこれ」と金銭には極めて綺麗と言われている議員が言った。

それに対して、「領収書不要の文書滞在交通費こそ、時代遅れで国会議員の特権そのものじゃないんですか? 今、地方議員は政務活動費の明細をインターネットで公開する事で政治と金の透明度を確保していますよね。

私が党首となる政党は国会議員の政治資金や政党助成金、政務調査費なども順次ネット公開する事で国民が望む政治と金の問題をクリアーかつオープンにする事が新党立ち上げの目的なの」と新党立ち上げの目的の一つが政治と金の問題解決だと明かした。

すると「なるほど高潔かつ凛とした武藤先生らしいお考えだ、感銘致しました。ところで本当に連立内閣となったら、この私に古巣の外務省を大臣として任せて頂けるのですか?」と議員が古巣の外務省へ思いを馳せて言う。

「新党を立ち上げて、一〇〇議席以上を取れば、与党は否が応でも私達の新党と連立政権を組まざるを得ません。組閣に際しては応分のポストを要求していきますから、確約はできませんが貴方が我々と一緒になって、この国の改革を担ってくれるのなら、貴方の要望に可能な限り沿う心算です」

議員の目を見据えて武藤が答えると、「分かりました、尊敬する武藤先生に私の政治生命と身体をお預けします」と覚悟した様に告げた。

「分かっていると思うけど、絶対にやめて欲しいのが、あのいかにも自虐を絵に描いた様な『全方位外交』という偽善、外交方針の基軸には『国益優先』を明確に打ち出して頂戴。だいたい我が国にミサイルを向けて恫喝するような国や、わが国領海付近のEEZ内にミサイルを撃ち込むような国と友好関係なんて築ける訳がないと思わない?」と問うてきた。

「全くです! 『全方位外交』と言うと聞こえはいいですが、正に実態は『自虐外交』ですね」と議員が『自虐外交』に同調してみせた。そして、「あっ、でも大臣の手当に関しては私の一存で金銭管理しても構いませんよね、念の為お伺いしますが……」と付け加えた。

これに関して武藤は、「勿論、そこまで干渉する心算はなくてよ」と答えた。

こうして一人目の国会議員面接試験は、武藤の満足ゆく結果で終わった。

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