第一章 トップ会談と候補者擁立

続いて与党からの公認を得られず無所属で選挙戦に臨み見事当選して勝ち上がった岡山選出の新人議員との面接試験に臨んだ。

武藤が立ち上げる新党の最重要課題として選挙制度改革があった。その改革を成し遂げる為に欠かせないのがこの新人議員の父が嘗て率いた政党で現行の小選挙区比例代表制に代わって中選挙区制を復活させようと試み、この政党の力を結集して作成した試案、今となっては幻と化した、中選挙制度への改革案が必要不可欠であったのだ。

武藤は連立政権の中に入って、この新人議員を、選挙制度を所管する総務省の副大臣として送り込み、父親の作った中選挙区制案をたたき台にして直近の国政調査結果などを踏まえ、今回は政府提案として国会へ上程して可決成立を目指すという青写真を描いていたのである。

そんな訳で面接試験の際の武藤の第一声は、「初当選おめでとうございます、お父様はお元気? お父様、大変お喜びになられたでしょう」と発したのである。

それに対し、「ありがとうございます、父は我が事のように喜んでくれました。武藤先生にはくれぐれも宜しくと言付かって参りました」と言って返した。

その後、国家観や政治理念等を武藤が質問して答える形で進め、文書滞在交通費の詳細な明細の件に話が及ぶと、「全く問題ありません、もともと自分としては地方議員の方々が行っている様にネットに上げて透明性を確保する心算でおりましたので、その点は問題になりません」と答えた。

それを踏まえ武藤は、「新党結党の目的の一つに選挙制度の改正があります。日本が一億総中流で大多数の日本人が幸せを実感できた時の選挙制度は中選挙区制のもとでした。失われた三〇年はすべて小選挙区比例代表制の期間だったことを踏まえると日本の選挙制度としては中選挙区制の方が相応しいと考えます。」