高度化するサプライチェーンの起点となるシン・物流革命

情報ネットワークの超高度化で昨今のビジネスモデルは「商物分離」の原則で進められるようになった。

工場などで生産し、卸売業を経て、小売店舗などで販売するという一連のしくみを流通といっているが、流通は大きく商流と物流に分けられる。決済などのお金、あるいは所有権の流れ、取引のプロセスのことを商流、商品などのモノの流れを物流という。

流通はその両方をまとめた概念ということになる。そしてまとめられたぐらいなのでこれまでのビジネスでは商流と物流を一緒にこなす、すなわち「商物一致」という考え方が一般的であった。

ところが物流革命の追い風となっているのはその伝統的な流通の概念の再構築で、それが商物分離というわけである。商物分離とは商流と物流を分けることである。

たとえば、実店舗で商品を購入する場合、商品をレジに持って行き、お金を払う。これは商品の交換と決済は同時に行われる。これを「商物一致」と呼んでいる。

それに対して商物分離とは、ネット通販で商品を購入する場合を思い浮かべてもらうとわかりやすい。ネットで商品を買う場合、購入はいまの時代、パソコン上で、ワンクリックで済む。これで商品の所有権は購入者のものとなる。

それでは商品はどうなっているのかというと、商品在庫のある物流センターを経由して、消費者の手元に送られてくる。すなわち、商流と物流が別々に処理されるのである。

コロナ禍以降の「人・モノ分離」はその人流・物流の分離だったが、商物分離のほうが、より一般的なしくみとはなってきている。商物分離の最大のメリットは「ワンクリックで所有権が移る、決済を行える」ということから、商流が従来とはくらべものにならないほど、その負荷が軽減されたということにある。

現金決済や手形決済などと比べて、クレジットカードを使って、ネット上で決済するしくみは最先端のビジネスモデルとなじみがいいのである。

ただし、商物一致でも物流の負荷は残る。というよりも物流により多くの比重がかかるようになってきている。商物一致の際に必要だった、大型店舗の代わりにロングテールに対応した品ぞろえを実現するための巨大な物流センターが必要になってきたのである。

そしてこうした流れを受けて、物流の重要性がますます高まることになってきた。商物一致で大店舗、大きな人流、複雑な決済が求められたこれまでのビジネスモデルが、ネットを中心に商流はワンクリックで処理して、あとは物流だけというスキームに進化してきたわけである。

アマゾンにせよ、楽天市場にせよ、ZOZOTOWNにせよ、コロナ禍でも売上高を伸ばしてきた企業は商物分離型のモデルなのである。