【前回の記事を読む】飽和状態だったが…コロナ禍が変化させた「宅配便市場」の見方

第1章 情報革命からシン・物流革命へ

物流からロジスティクスへの進化

ちょうど、IT革命が始まったあたりから、ロジスティクスという言葉がしきりに使われるようになった。

それまで「たんにモノを運ぶだけ」であった物流が戦略性を高めて効率的にモノを運び、保管し、あわせてそれに関わる一連のプロセスを改善していくことをロジスティクスというようになったのである。

企業が、売れ残りや過剰在庫などを防ぐためには綿密な需要予測が必要になる。そして需要予測の徹底をふまえて、モノの流れが管理されるようになり、そこで生まれてきたのが「ロジスティクス」という考え方だった。

モノの流れ、すなわち物流を戦略的にマネジメントするという発想である。つまりモノの流れを戦略的に管理し、ビジネスプロセス全体の最適化に反映させるのがロジスティクスなのである。

物流プロセスの改善と最適化をメーンに据えた効率化、合理化を指す。調達から販売に至るまでのモノの流れを統合し、戦略的に扱うのである。たとえば、大量調達、大量生産、大量輸送などを縦割り組織のもとに行えば、大量の過剰在庫が生じるリスクが出てくる。そこで生産地から消費地までのモノの流れと保管とそれらの情報を巨視的、統括的、効率的に管理するのである。

ちなみにロジスティクスとは、もともと軍事における「後方支援」のことで、「兵站(へいたん)」と訳されていた。軍事における計画的な供給体制をビジネスの世界に移入したわけである。

ただし、近年は物流とロジスティクスをほとんど同じ意味で使う人も増えているようである。市場調査をマーケティングといったり、営業をセールスといったりするのと似たような感覚と考えていいだろう。