【前回の記事を読む】物流倉庫は不動産投資の対象にうってつけ!? その意外な理由とは…

第1章 情報革命からシン・物流革命へ

ロジスティクスへの投資も過熱

さらにいえば物流業界におけるサードパーティロジスティクス(3PL )※1の発達が物流センターのあり方を大きく変えた。特に物流不動産と相性が良かったのは、倉庫や物流センターを持たないノンアセット型の3PL物流サービスである。

3PL企業は物流センターを一括して借りて、それを区割りして賃料をとり、同時に仕分け、箱詰め、ラベル貼りといった荷役業務も請け負うが、これは伝統的な倉庫会社のビジネスフィールドを大きく侵食することになった。そして外資系不動産企業を中心に物流施設を事業用物件とする「不動産ファンド」が有力ビジネスとして市民権を獲得した。多額の資金を倉庫取得に投資、賃貸してその賃料収益を得るというビジネスモデルである。

物流センターは一般的に立地の関係から土地価格が安く、しかも建設費や管理費もかからないことから高い収益性が保証されている。ユーザー企業との関係も長期にわたり、5年から20年ほど続くケースも多い。したがって、定期借家契約を行うことで収益性の高い事業に組み込むことが可能となるわけである。

それまでのサプライチェーン上の倉庫・物流センターの役割は主として生産と販売のバッファーとしての保管機能であった。しかし、近年はサプライチェーンのあらゆる機能が物流センターに一度、集約され、統括されるというシステムが出来上がっている。言い換えれば物流センターが「サプライチェーン全体の司令塔」としての機能を強化しつつあるといえよう。


※1:サードパーティロジスティクス(3PL) 

荷主企業から見た場合の物流事業の外部委託、物流事業者から見た場合の受託物流事業を指す。戦略的な視点から物流企業が荷主企業の物流部門の効率化、高度化などを請け負う。