「そう言って先生にご心配頂くのは光栄なのですが、地方議員が当たり前に行っている政治資金のネットでの公開が、国会議員になると与野党含めて全く行われていません。

そんな与野党なれ合いの上の理不尽さ等を見ると私の性格上黙って見過ごしてはおれないので私はそこに風穴を開ける心算です。

あのテレビ番組で好評を博した、きっちりと経費としての支出の不正を質し、いい加減な支出を見逃さない党首直轄の事務員さんを置きます。

所属議員の政治資金と政党としての収支明細を明朗会計化してネットに公開していくことで、政治資金のダーティーな点を根本から変えることも私が政党を立ち上げる目的の一つです! そんな私に先生、ご協力願えますか?」と武藤が猫なで声で山脇に言うと、

「高潔な君らしい考えと行動だ、勿論こんなおいぼれで良いなら協力させて頂く」と賛同した。

「そう仰って頂いたところで、早速なのですが私の議員面接に立ち合って頂けません? 国家戦略企画研究所メンバーの八人の現職国会議員が新党結成に協力を申し出てくれているので、折角なので五人以上という政党要件を整えて、政党助成金を軍資金として活用させて貰おうと思っています。

ただしたたかな国会議員先生が相手なのでよく人物を見極めないと此方が体よく利用されかねないので、党首となる私と一時間くらいの面接試験を受けて貰った中で、参加の可否を決しようと思っています。

そこに先生が立ち合ってくだされば私にとっては『鬼に金棒』という訳です」と武藤が胸の内を語った。

こうして、図らずも国家戦略企画研究所に籍を置く与野党の現職国会議員をリクルートする事で政党助成金対象となる国政政党立ち上げへと踏み出したのである。

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