自伐型林業(2019年8月)

昨年あたりから、森林組合が近所の林を次々と伐採している。植林されたトドマツが成長し伐採期を迎えたからである。個人所有の林を、森林組合に委託料を支払って大型機械で伐採してもらう、というやり方が今の時代の主流である。我が家も、林を少し所有しており、森林組合から伐採しましょうか? と提案を受けたが丁重にお断りした。

我が家は昔から、主に冬の農閑期に、自らチェンソーを担ぎ1本1本伐採して、燃料用の蒔を作ったり整材して車庫などを作る材料にしたりしている。森林組合に委託すれば、楽ではあるが伐採した丸太代金から委託料を差し引かれるとわずかしか残らない。それでも、ほとんどの人が委託するのはなぜかといえば、自分で伐採している時間がない、というのが一番の理由であることが多い。

また、仮に自分で伐採したとしても、時間と労力を比較すると、同じ時間で労力を費やすなら、丸太を売るよりも野菜や牛乳などの農産物を作って売ったほうがお金になる、という現実もある。

だが僕は、このような理由で自ら林の管理をしない、というのは嫌なのである。たとえ非効率的で金銭的にもあまり利益にならないとしても、祖父や父が代々守り育ててきた林を、僕も自分で育てていきたい。

思いかえせば、僕は小学生の頃から祖父たちに連れられて、冬場、かんじきを履いてチェンソーやトビ、ガンタといった昔ながらの山道具を背負い、昼食用のおにぎりと飲みものをもって山に入っていた。

所有している林がかなり山奥にあり、そこに行き着くだけでもそれなりに時間がかかるが、それはそれで結構楽しいものだ。ちょっとした山登りみたいなものなので、僕が登山好きになったのは、もしかしたら子どもの頃のこういった経験がきっかけかもしれない。

現代では、こうした自ら伐採してやりくりする林業を、自伐型林業と呼び、一部では見直されてきている動きもある。日本の国土のほとんどは山林である。この大切な山林を育てて利用していく、というのは人間にとって失ってはならない一つの文化であると僕は思う。