【前回の記事を読む】毎日ナンパ、喧嘩で警察沙汰に…「ただの酒飲み」がアルコール依存症になるまで

第一章

真面目に、とは言いっても喧嘩をやめただけで、お酒は今まで通り浴びるように飲んでいました。しかし飲む相手はホテルの仕事仲間で、明るく楽しく健全なお酒になりました。喧嘩は一切しなくなりました。

二三歳の時、私は二一歳のA子と結婚しました。出会った頃は、あまりお酒に強くなかったA子でしたが、私と一緒に飲むにつれて、どんどん酒量が増えていきました。妻A子は毎日私と飲むのが楽しいと喜んでくれ、私も飲み相手が毎日家にいるので楽しくてどんどん飲みました。

一年後気づいた時には私は五㎏太っていましたが、A子は二〇㎏太っていました。私はこれではいけないと、相変わらず毎日酒は飲んでいましたが食べる量を減らし、なんとか体重を元に戻しました。しかしA子の体重は戻らないままでした。そもそも毎日飲むようにさせたのは私であり、申し訳ないとも思いましたが、もう少し自慢の妻であって欲しいと思うようになってしまいました。

「もう結婚したんだからモテる必要はない」というのがA子の言い分でした。そのうちにA子は、私が仕事や外出から帰ってくるたびに「浮気をしているかもしれない」と言い始めました。気づけばA子は勝手に毎日酒を飲むようになっていました。自分が太ってしまって痩せることができない不安からだと思いました(今思えばアルコールによる妄想障害だったのかもしれません)が、私にはどうすることもできませんでした。

友人と飲みに行く時も「本当にその場に女はいないのか」としつこく聞き、帰ってきたらまた質問攻め、という毎日でした。もちろんそれまで浮気はしていなかったのですが、質問攻めが続くうちに本当に浮気をするようになりました。どれだけ説明しても信用してくれなくなり、逃げ場所が欲しくなってしまったのです。

私が都合良く「どちらにしても信用してくれないならもう浮気した方がいい」などと考えた結果です。本当に不幸な夫婦になってしまったと思います。もし私がお酒を毎日大量に飲んでなければ、そしてA子をそれに付き合わせなければ、こんな不幸はなかったのかもしれません。A子も完全にお酒の被害者でした。

私は、不倫相手の女性B子と本当の恋に落ちていました。彼女はまだ二〇歳でした、私は二七歳になっていました。彼女は私の妻を「かわいそう」と言いました。だからここに来るのはたまにでいいと。私はできるだけ家でA子と過ごし、寝静まった深夜こっそりと抜け出してB子のアパートに行き、夜明けまでに家に帰るというとてもハードな生活をしていました。