はじめに

今のあなたの本音はどうですか? お酒、やめたいですか? 本当に、心からやめたいですか? 答えが「イエス」なら、どうか安心して下さい。そして私の話を最後まで聞いて下さい。あなたはもう、お酒で人生を損なうようなことはなく、必ず断酒に成功します。あなたには、あなたの意思で人生を思い通りに生きられる、健康で明るい未来が待っています。

私も四年前まで、重度のアルコール依存症でした。若い頃から三〇年間、飲酒による問題行動で何度も病院や警察にお世話になっていました。平成二九年一一月一日に完全に断酒して以来、現在まで(執筆時、令和四年二月)丸四年以上、神に誓って一滴もお酒を飲んでいません。

わざわざ私が「神に誓って」と言うのは、そもそもアルコール依存症患者は、お酒に関して嘘をついたり誤魔化したりするからです。そういう病気、そういう症状なのです。私自身の飲酒人生を振り返ってみても、まあなんとも情けなく、穴に入って上から鉄の蓋をして頂きたいくらいなのですが、しかし、そういった私の考えもアルコール依存症の治療にとってはずいぶんと邪魔な考え方なのです。

飲酒による問題行動のほとんどは「自分自身のだらしなさ」ではなく「アルコールが人格に与える影響」が原因です。問題行動を起こしているのは本人の意志などではなく、アルコールを日常的に摂取していることにより「脳がハイジャック」されていることが原因なのです。

現在も進行形でアルコールの失敗を繰り返している方、それを「自分自身の心の弱さ」だと嘆いている方も、それは「アルコールという薬物(危険ドラッグ)の作用」なのだと、冷静に理解して頂き、自分の力ではどうにもならないことなのだと諦め、できれば専門医の下で治療して頂くことをお勧め致します。

「酒さえ飲まなければ、なんとでもなる」。これは本当です。お酒と別れたことで、私の人生は信じられないくらい好転したのですから……。そんな私と一緒に、我慢をしない「思考の変化」の旅に出てみませんか。さあ一緒に翼を広げましょう。

翼と聞いて、こしょうの効いた手羽先を連想している場合じゃありません、あ、レッドブルを飲んでいる場合でもありませんよ。目を閉じて肩甲骨の辺りに自分の翼の感覚を感じて下さい、ほら立派な翼が生えてきたでしょう。それはあなたの決意の翼です。目はまたしっかりと開いて下さいね、本が読めなくなりますから、笑。それでは、そろそろ行きましょうか。