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「そういえば、三木くん覚えてる?」

リサの話はコロコロと変わる。今度は朝木さんに腕を掴まれていた体格のいい彼のことか。リサも何か気付いたのだろうか。

「その人がどうかしたの?」

私が少し緊張しながら尋ねると、リサは少し顔を私の方に近づけてニカッと笑う。

「彼、スミレのこと気に入ったみたい。綺麗な人ですねって言ってたよ!」

「え? そんなにたくさん話したわけでもないのに」

構えていた内容とは全く異なる話に、肩の力が抜ける。

「初めは目も合わせられないぐらいの人見知りかと思ったけど、後半はすごくテンションが高かったでしょう? スミレを気に入ったからじゃないかなと睨んでいるの」

「まさか」

まあ、第一印象とグループで話していたときのテンションの差は気になっていたが。

「だから、今日来られなくて残念がっていたみたいよ」

「うん? 今更だけど、今日は誰が来るの?」

私はふと気になって聞いた。てっきり三木くんも来ると思っていたが、そういえば、この前のメンバーというざっくりした言い方でしか知らされていなかった。

「私たちの人数に合わせて男性陣も二人にしてくれたみたい。朝木さんと三木くんのはずだったんだけど、三木くんは都合がつかなかったらしくて。朝木さんと、その後輩が来る予定だよ。この前話していた中にいた人だから、スミレも覚えているんじゃない?」

ああ、後半私が合流したときにいたうちの一人かな。人と話すのは嫌いではないが、私はリサほどすぐに人と馴染めるわけでもないので、知った顔での食事であれば少し気が楽だ。それでも、お酒が入っていた方が初めから楽しく話せるからとの理由で(ただお酒を飲みたかったんでしょ? と言われても私たちは否定しないが)私たちはショットで乾杯をし、気合いを入れてからカフェを後にした。