【前回の記事を読む】「がん宣告」人生で最も激しい動揺…えっとしか言えないリアル

手術前

一 がん告知

今日、私は八月に行われた人間ドックで胃に異常が認められ、精密検査をするということで隣の市の医療センターに来ていた。胃に異常があるということは、もっと深刻に受け止めなければいけなかったのに、胃を除いての判定が全てAであったり、九月になり、暑さが落ち着くとともに体調がいいこともあったりしたので、今日の検査はすっかり甘く考えていた。それに、今までも再検査というのが何回かあったが、再検査をすると異常なしにいつもなっていたので、今回も再検査をすればそれで終わると思っていた。

激しく動揺していたが、看護師からも消化器内科に戻るように促され、今日最初に受診した消化器内科にうなだれながら戻った。そこの医師は最初の時も明るい感じで話してきたが、検査結果を見ても、

「進行胃がんのようですね。転移しているか調べる必要があるので、一週間後の九月二十日にCT検査をしましょう」

とさばさばした様子で話した。この医師もがんをあまりひどい病気とは思っていないようだ。がんの治療は自分が思っている以上に進んでいるのかもしれない。私はそう思うことにした。医師は続けて、

「CT検査をする時は、同意書に署名してもらいます。そこに今日の日付と名前を書いてください。今日は九月十三日ですね。そう言えば金曜日でしたね。十三日の金曜日ですがキリスト教でなければ関係ないですよね」

と一人で話して納得していた。がん告知の動揺ですっかり疲れ切っていたので医師の話についていくことができなかったが、十三日という日については強い印象が残った。同意書の日付二〇一三年九月十三日と書きながら、この日は自分の人生を変える日だと思った。