求道とは何か

この本は「求道(ぐどう)」をテーマとした本です。そもそも求道とは何なのでしょうか? そのあたりから考えてみたいと思います。辞書を引けば「求道」とは、「①仏道を求めること。菩提・仏果を求めること。②転じて、真理を求めること」(「広辞苑」第七版・岩波書店)、あるいは「安心立命の道をもとめること」(「新選国語辞典」第六版・小学館)などとあります。

「真理」と言う言葉が出てきましたが、その「真理」とは、「①ほんとうの道理。②論理の法則にかなった正しい知識・判断。③どこでも、いつでも通用する妥当な知識・認識」と書かれています。

辞書で書かれていることをまとめますと、求道とは「宗教的な世界も含めて真理を求め、世界・宇宙の法則にかなった知識判断を探るなかで個人の心の安定をもとめる生き方」となります。

私なりの言葉で言えば、人間として生まれた自分を最も根本的なレベルから探究して、その本質レベルからの解答を得ることでそれを自ら実現していく過程と考えます。

要するに人間とは何か? そもそも生きるとは何か? どんな生き方をするのがいいのか、どう生きることが最も正しいのか? 人間にとって死とは何か? 死んだ後は無なのか? 神とか霊的存在などはどう考えたら良いのか? など、良く生きようとする時に発する本質的かつ根本的な問題を追及していくこと、それが求道だと思うのです。

求道は真理探究の道ですから科学と同じ立場を持ちますが、科学では実証不可能な「神様」や「霊」や「悟り」といった問題は扱いません。しかし求道は、それらの世界を真正面からとらえる活動と言えます。それは世界の聖人・賢者が感得した人間存在の根本的なものすなわち悟りや神的存在との合一など言われてきた事を自ら追体験して行く道と言えます。

求道は学問的な探究とは違い、本人の修行の道と言えます。私なりに求道を一言で定義すると、「真理探究の道、人間存在の根本的な探検・探究をすること、道を究めて自己を知ること」です。