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第三章 求道と断食

求道という事にとって「断食」を一つの章として取り上げたのはやはり私にとって、あるいは人間を考える上で、あるいは人間が進化する上でも重要だと考えるからです。私が断食という「行」を知ったのは沖正弘先生の教えからです。本山博先生も断食を推奨されています。

普通の生活をしていると食事を毎日食べることは当たり前で、食事を抜くなどは特別な事であり、むしろ風邪なども引いた時も「しっかり栄養をつけなさい。食べなくちゃ駄目よ」等と皆言うものです。

お医者は「3食きちんと食べなさい」と教えます。最近はやっと西洋医学の一部でも食べないことの重要性を理解した医者や、断食を勧める先生が出てきましたが、一般のお医者はまだまだ現代栄養学の考え方で、食べること=栄養を付けることの信仰にはまっています。

しかし、人類史を見てみれば人類がきちんと3食を食べられるようになったのは最近のことで場所や時代によって色々変化しているでしょうが、人類は基本的に飢えていたと思われます。現代でも先進国以外の国々では食べられないという状態は続いていると思うのです。

西洋医学の言う「食べることが大切なこと」は認めながらも、実は食べないことも大切だというのが断食の哲学です。

宗教の世界を見てみればキリスト教のイエス様も荒野で40日の断食をしたと言われていますし、ゴーダマ・ブッダも苦しい断食行の後に瞑想で悟られています。多くの宗教者・修行者は必ずと言っていいように断食をしているのです。

人間の一番の欲求はやはり食欲です。その食欲を自分から断つ行為はかなりのストレスで意志を強固にしない限りは、すぐに食欲に負けてしまうものなのです。その食欲を意識的に断つ行為が「断食」なのですから断食に対して反発心を持たれる方が多いのは理解されます。

それでもやはり宗教の開祖方が試みられた如くに意味がある重要な行為だと思います。現代でもイスラム教でラマダンと言う断食の期間を作っているのはそれなりの効果があるからでしょう。