紛争ケースから学ぶ!『相続』のポイント

相続が紛争に発展するケースの大半が、「うちは揉めないから何もしなくても大丈夫!」と言っていたご家庭であるという真実をご存じでしょうか。ここでは、「揉めないから大丈夫!」と思っていたご家庭が、泥沼の紛争となってしまったケースをご紹介させていただきます。揉めないためのポイントをおさえていただき、円満で幸せな相続を実現しましょう。

1兄弟2人、財産は自宅と預貯金のみのケース

登場人物:太郎さん一家

太郎さんの生前は、一夫さんと一子さんは特に仲が悪いわけではなく、お盆とお正月は、太郎さんを囲んで食事をするなど良好な関係を保っていました。このような様子を見ていた太郎さんは、もし自分が亡くなっても、財産もあまりないし、揉めないだろうと思い、生前対策などは何もしていませんでした。

令和3(2021)年1月1日に太郎さんが亡くなりました。太郎さんの相続財産は、自宅不動産3000万円預貯金1000万円でした。

[図表3]太郎さん一家の相続

一夫さんは、太郎さんと同居していたため、当然自宅不動産を相続すると思っていたので、四十九日が終わった後、一子さんに、自宅不動産は一夫さんが相続して、預貯金は一夫さんと一子さんとで分けるということで良いかと、一子さんに確認しました。

自宅(土地・建物)3000万円→一夫さんが取得

預貯金1000万円→一夫さん・一子さんで分ける

一子さんは、一夫さんの提案を持ち帰り、検討することにしましたが、自分には法定相続分を取得する権利があることを知りました。