【前回の記事を読む】「ウチの兄弟は仲が良いから」…相続でタカを括ると危ないワケ

第四章 ポイントは不動産! 事例に学ぶ遺産分割における注意

5 遺言のススメ

①法律的に有効な遺言を作成しましょう

遺言は書けばいいというものではありません。決まった形式があり、その形式通りに書かないと法律上、無効とみなされてしまうこともあります。

トラブルを回避するために残した遺言が法律上無効となってしまっては元も子もありません。専門家のアドバイスを受けながら法律上有効な遺言を残してください。お勧めは公正証書遺言です。費用は必要になりますが、将来のトラブル回避には非常に有効ですし、トラブル発生時の弁護士費用などを考えれば、費用対効果は非常に高いということができます。

②不動産の価値をしっかりと把握しましょう

遺産を等分するにも、いずれかの相続人に寄せるにも不動産の価値をどのように考えるかが大きな問題になります。何らかの根拠を持って不動産の価値を把握することが重要です。

被相続人が、高い価値を持っていると考えていた不動産も、見る人が違えば違った評価になることもあります。相続税路線価や、地価公示、固定資産税評価証明などの公的な資料を用いることや、不動産業者や私たち不動産鑑定士といった専門家のアドバイスを活用することをお勧めいたします。

③付言を活用しましょう

付言とは、遺言の本文の他に自由に被相続人の想いや考えを伝える、いわば被相続人からの手紙です。付言にその遺言を作った理由などを付け加えることで、遺言から生じる相続人間のわだかまりのようなものを和らげることができます。