*小中華思想 

中華(中国)の天子が、天下の中心でありその文化・思想が神聖なものであると自慢すること。この説明では簡素すぎて誤解を招くから、一文解説を添える。

この説の中心は一見、中国説に見えるが、これは韓国李氏朝鮮王朝の自主的な独自性を持つ理論であるところを読者は知りおかれたい。ここを認識されている読者はかなりの見識において中位を超えた理解者であるとみたい。

筆者がここで幾分の加筆をするところは、小中華思想とは朝鮮で唱えられた中華思想の一変種であり中華文明圏の中にあって、漢族とは異なる政治体制と言語を維持した民族と国家の間で広まった思想で、自らを「中国王朝(大中華)と並び立つ王国か、又は中国王国理論に次ぐ文明国で、中華の一役をなすもの(小中華)」と見なし、朝鮮国は大国の中国を凌ぐことは出来ないが、それに次ぐ文化を持つという優越主義思想である。

この文化とは「儒教文化圏」のことである。即ち往時の朝鮮王国は、中国儒教の朱子学を科挙試験の基本として、官僚採用の基準とした。儒学思想発祥の国を凌ぐ勢いで「孔孟思想」が全てといった行政を実行した。

ここで明確にしておくが、「孔孟思想」は文字通り孔子・孟子の学問であり、熟慮理論的学問であり宗教ではない。従って韓国・朝鮮王朝をして「儒教の国」と称する先行学者も少なくないが、その語りは正しくない。孔子・孟子の理論は正しいという「孔孟思想礼賛(らいさん)」を国家の判断基準に置いただけであり、宗教とは世界に紹介していない。

高弟・親族に高い敬意を払い大切にするということは高い理念の発意である。そこは我らも大きく称賛すべきところであろう。しかしその民族性をとり、「儒教の国」だからといって褒め称える知ったかぶりがいるが、現在、韓国の宗教ではキリスト教徒が一番多いということを知らない人の見識の引用である。

朱子学は官房学であり、日本の官僚組織の体制維持には韓国に負けないくらいに、採用されていることも認識されていない、残念である。なお、ここでの一文と現在の韓国・朝鮮の歴史観とは関わりのないことは明言をしておく。また日本国に於いても「小中華思想」が明確にして存在していた。