「ねえ起きてよ!」

「え!!!」

「朝ごはん作ってみたの」

博樹は急いで起き上がり周りを見渡したが、間違いなく自分のアパートだ。見たこともない女性が台所で手を洗っている。後ろ姿だけでもモデルのようなスタイルの持ち主ということは感じとれる。

「いや、誰? お前」

丁寧に対応しようとは思ったが、他に言葉がなかった。

「いいから食べて! 目玉焼きは半熟だったわよね」

「なんで知っているの?」

冷静さを取り戻そうと周りを見渡し、その後テーブルを見た。六十センチ四方の小さなガラステーブル一面に、ホテルのモーニングのようにご馳走がこれでもかと並んでいる。博樹は慌てて状況だけを吞み込んだ。

「ハッシュドポテト大好きなんだよ」

「苦労して作ったんだから」

そう笑い近寄る彼女の顔をようやくまじまじと見た。きれいに整った顔立ちは、やはりモデルを思わせるほど美人だった。いや、モデルというよりも、少しあどけなさの残るなんとも表現しがたい雰囲気だ。ただハッキリしていることは、どちらかといえば博樹のタイプだということだ。グウ~~~ 。実際、昨日は彼岸花しか食べていないので腹は充分に減っている。

「夢か? 夢ならむしろ食べなきゃ損だよな」