16 一人で洋服を着る、ズボンをはくなど時間がかかっても手を貸さず、一人で出来る事は、時間がかかっても最後まで、一人でさせました。

一人でさせる事は、時間がかかり、親もイライラし、大人が手を出してしまいがちですが、将来の子どもの事を考えた時、そこで手を出してしまったら、一生その子が出来なくなってしまい、結局、大人が一生その子の手となり足となり付き添って生活しなければならなくなります。それで、私は「我慢!我慢!」と自分に言い聞かせ、自分自身と向き合い、待つよう心がけ、子ども一人でさせました。

その結果、子どもは、一つの事が出来るようになると、達成感を味わう事が出来、自分から行動する意欲へと繋がっていく事を感じました。一人でさせるという事は、成長するチャンスを与えるという事になると教えられました。

17 同年齢の子どもと「比較しない」。

現在のレベルを考えて、欠けている部分を補うようにしました。

18 いつでも満たされた状態を作らないようにしました。

時には、わざと困らせて、自分で行動出来るまで待つという事も必要だと感じました。4歳の頃、泣いたり、笑ったり感情を表さない子どもで、私と離れても泣くという事がありませんでした。それで、つながりが出来てきたと思えた時、わざと隠れ、どうするかみていたところ、泣き出したのです。初めて親の後を追い、泣き出しました。私を親として受け入れてくれたという気持ちで、私は、嬉しく感動しました。今思えば、これが子どもの眠っている「発達の芽」を揺り動かす事になったのでしょうか。

19 明らかに、わがままだと思える時は、無視しました

親の都合により、許されたり、厳しく禁止したりの曖昧な対応は、自閉症の子どもにとって混乱をきたします。それで、無視し、親は怒っているという姿を見せ、一貫して譲りませんでした。

自分の気に入らない時は、道路にひっくり返って泣きましたが、言葉かけを行うと余計にパニックになり、何を言ってもダメでした。言葉がないため、そのようにして意思表示をしたと思いますが、道路でひっくり返れば自分の思い通りになるというパターンは作りたくなかったので、私は、周りの目を気にせず、チヤホヤしないという毅然とした態度で接し無視しました。

それが功を秦したのか、癇癪かんしゃくが親の注意を引くためのコミュニケーション手段に移行しませんでした。

20 「お手伝い」をさせて、認め、「褒める」事で、自信をつけ、行動への意欲につなげました。

簡単な「お箸をとって」「みかんとって」など、子どもに出来る「お手伝い」をさせる事により、言っている言葉の意味を理解し、指示に従う練習になりました。出来た時は、「ありがとう」の言葉を添え、「よく出来たね!」と「褒める」事により、本人の自信につながり、行動への意欲につながっていきました。

21 子どもの生活全体をとらえ、生活のリズムをつくりました。

息子は、1日のサイクルが曖昧でした。睡眠時間が短い上、起きても、放っておけば、寝転んでミニカーのタイヤを眺めて1日が終わります。それで、親の先導ですが、身体を動かす遊びをしたり、お手伝いをさせたりする事によって、1日の行動にメリハリがついていきました。

これら、21の項目を実践する事は、私自身の心の修行のようでした。