【前回の記事を読む】健常児の親には聞けないことも…自閉症の子ども達のための「親子合宿」の成果!

「N合宿」

[写真1]子ども達はボランティアさんとハイキングへ
[写真2]夜は、「しっぽ取りゲーム」で盛り上がり
[写真3]きょうだい、親、ボラさんと「座布団取りゲーム」

子どもにとっては、成長と共に、同年齢の子どもとは遊びの質も変わってきて、集団で遊ぶという機会に恵まれませんが、この合宿は、同じような子どもの集まりなので、子どもっぽい遊びでも中に引き入れて集団で遊ぶという事が出来ました。

て遊びに参加させました。また、新しい環境に馴染みにくい自閉症の子どもにとって、毎年、同じ場所で同じ時期、同じメンバーで行われた合宿は一つのパターンとなり、子ども達にとって楽しみとなりました。子ども達同士は、会話が成立せず、「我、関せず」というふうに傍から見えても、お互いが仲間意識を持っており、誰か欠席者がいると、周りの親に理由を訊ねていました。

食器を運ぶこと・お茶を入れること・ご飯を盛ること・食事の後片付け・布団の後片付け等、手伝い出来ることは、全て子ども達にやらせたのですが、みんながやる姿を見ると、誰一人嫌がる子はおらず、率先して、順番待ちをし、食事を運び、ご飯を盛ったり、注意深くお茶を入れたり、熱いものを運んだり、最後はお茶碗洗いを手伝うなど、一人暮らしに必要な生活訓練が出来ました。

多動の子どもが多く、障がいの子どもを連れての家族旅行など出来なかったのに、この合宿のおかげで、きょうだいを含めて子ども達を楽しませる事が出来、また、自閉症独自の特徴も笑い話のタネとなり、笑いの絶えない楽しい合宿となり、また来年もみんなで頑張ろうという活力の場所となりました。

子ども達が中学生になり、ボランティアを必要としなくなった時、宿のご主人に食事を出して頂くようにお願いすると、この宿は懐石料理が自慢の宿であることがわかりました。懐石料理が自慢であるにも関わらず、ご主人は、そのような事をおくびにも出さず、私達のわがままを聞き入れて下さっていたのです。その年から、懐石料理と子ども達のカラオケを目的に訪れるようになりました。

親達が夜遅くまで勉強していると、ワインや季節の果物を差し入れて下さり、ご家族みんなであたたかく受け入れて下さいました。そんな居心地の良さで、合宿は、N先生、宿のご主人が亡くなられた後も欠かすことなく38年続きました。今は亡きN先生と宿のご主人は、子どもの成長を願う私達親の気持ちの真の理解者であったと思います。

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