大将軍の下宿には学生が誰もいなかった。階下の駐車場に原付や自転車が一台もない。土曜日の午後を一人下宿の中で過ごすのも、まあいいじゃないか。夏生は生温かい部屋に入ると座机に向かって『徒然草』を開いた。机の上には昨夜買った一リットル瓶のコーラ。まだ半分近く黒い液体が残っている。スクリューキャップを回すと、プシュッと炭酸が抜ける音がする。ラッパ飲みで一口含むと、コーラが口の中で膨張した。夏生の部屋には…
[連載]毎度、天国飯店です
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小説『毎度、天国飯店です』【第7回】竹村 和貢
店主の豪快な鍋振りに憧れて…。熱い音を立てて舞い上がるチャーハンの味は
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小説『毎度、天国飯店です』【第6回】竹村 和貢
サークル勧誘チラシの前で、『徒然草』を抱えた美人と出会った…。
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小説『毎度、天国飯店です』【第5回】竹村 和貢
先輩から「自分はなかなか呑み込みがええなあ。次から一人で入ってみるか」と言われ…
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小説『毎度、天国飯店です』【第4回】竹村 和貢
「やります」ここでバイトすることが初めから用意されていたように感じた
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小説『毎度、天国飯店です』【第3回】竹村 和貢
先輩が話す、中華料理屋のアルバイト事情。話している内に思惑が見え始め…。
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小説『毎度、天国飯店です』【第2回】竹村 和貢
上洛直後、突然訪問してきた隣人。晩飯に誘われ、生まれて初めての中華料理屋へ…
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小説『毎度、天国飯店です』【新連載】竹村 和貢
この部屋で四年間生活するんだなあ。本をたくさん読もう・・・