そんなある夜、心配で寝付かれなかった母は、そっと兄弟の座敷へ訪れた。「もう寝ただろうか」と、廊下から様子を窺うと、何やら話し声が聞こえて、ハッと耳をそばだてた。「工藤」「仇」「祐経」という言葉が、切れ切れに聞こえてくるではないか。兄弟はいつも必ず一つの床の中で寝ていたが、この時も、二人は一つの布団をかぶって、その中で相談していたのである。遅くまでの密談。そうと意識していなかったが、熱中して声が高…
[連載]曽我兄弟より熱を込めて
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第13回】坂口 螢火
閑話休題。地方武士の屋敷ってどんな感じ?曽我殿をとってもその大きさにびっくり!
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第12回】坂口 螢火
十にもならぬ兄弟の仇討ち。秘密にしようとしても、大人は誤魔化せず…。
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第11回】坂口 螢火
母から「お前たち、父の仇討ちを企んでいるとはまことか」と、突然核心を突かれ…
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第10回】坂口 螢火
雁が飛ぶのを見て嘆く兄。「鳥ですら家族揃って共に飛ぶのに…」【歴史小説】
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第9回】坂口 螢火
不条理な差別と冷遇に…わずか8歳の心に宿った「復讐心」【歴史小説】
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第8回】坂口 螢火
【歴史小説】自分達兄弟は曽我殿の実子ではない…。最悪の形で知ってしまった箱王に…
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第7回】坂口 螢火
もし平家に味方した祐親の孫をかくまっていると知られたら、どんな恐ろしい罰を受けるか・・・
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第6回】坂口 螢火
殆どの坂東武者が頼朝に従う中、1人源氏に歯向かった伊藤祐親
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第5回】坂口 螢火
夫の死で出家しようとするも...「他の男へ嫁いで子を育てるのだ」
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第4回】坂口 螢火
亡くなった父を必死に探す姿を見て…祖父が案じた息子の行く末
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第3回】坂口 螢火
「父の仇を取れ」嘆く母の願いに…5歳の息子が健気に言い放ったこと
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【第2回】坂口 螢火
【歴史小説】狩のさなかに狙われた親子…毒矢を放った宿敵の正体とは
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小説『曽我兄弟より熱を込めて』【新連載】坂口 螢火
【歴史小説】箱根神社に人知れず納められた刀にまつわる「重大事件」とは…