フィンランド賛歌

教育水準高く世界一のIT大国

フィンランド人の語学教育は厳しい。フィンランド、スウェーデンの二カ国語をマスターした上に英語も会話できなくてはならない。この厳しさの伝統は一六八六年(日本の徳川四代将軍のころ)に世界最初の義務教育法制定以来のもので、語学の例のみならず、この国の教育水準の高さは世界一と言える。

ガイドの資料によると、第一に幼稚園から大学院まで全ての教育費は無料で授業料どころか、大学では十分な奨学金や家賃補助があり、国家保障の教育ローンまである。ただし試験ができないといつまでも卒業できない。

第二にはそれに対する教員の質が高い。原則として大学院の修士課程を通った人がなる。それ以上に注目すべきは社会的地位が高く、弁護士や医師並みの自尊心を持ち、できる子供を創るという熱意で、高給を望まず残業を厭わず、できない子供には付ききりで付き合うという態度をくずしていない。日教組の連中に聞かせたらなんというか。

第三に結果としてOECDが行った二〇〇〇年と二〇〇三年の二回の世界的な中三の調査で、フィンランドは読解力で続けてトップ(日本は八位、十四位)であった。二〇〇三年の数学解決力では二位(日本は六位)だった。

こうしてこの国は、教育水準の高さが起動力となって、WEFの国際競争力ランキングにて三年連続世界一になった。人口が少ないとは言え、今や世界一のIT国家とも称賛される。

午後五時の出港まで四時間の自由時間があるので中央駅の横のファーストフードでパンを食べた(一四・一ユーロ)。駅の西に郵便会館があり、孫の土産にご当地人気者のムーミンを表紙にしたノートブックを買った(一四ユーロ)。

残りの時間を巡回路面電車に乗って、この首都のおおよその景色を見物した(四ユーロ)。首都としてはこぢんまりと雑然ともしていたが、緑が多いのは結構だ。それにしても物価が高いのには閉口する。次に訪れるスウェーデンの高福祉高負担の影響だろうか。