2人目は2017年度に受講したFさんのシートである。このうち左側が初回の提出となった4月12日、右側が最終の提出となった7月12日のシートである。2つを比べて明らかだが、Eさんと同様Fさんも文章の量・質とも格段と良くなった。

[図表2]Fさん(大学2回生)のレスポンスシート

なぜ2人のシートに書かれた文字数が大幅に増えたのか? それは暗に「たくさん書いた方が高得点」と仕向けたからである(これについても次章で触れる)。しかし、それで私の意図した通りにすべての学生が動いたのであれば、バラ色の講義空間の実現となるのだが、そう首尾よくいかなかった。

その一例が3人目であるGさんのシートである。GさんはFさんと同じ時期に受講し、図の左側は講義序盤の4月26日、右側が講義終盤の7月6日のシートである。2つのシートを比べてみて興味深いことが2点ある。第1に、4月に比べて7月の文章量が多くなった。第2に、4月に比べて7月の文字が少し雑になり、(少々判別しにくいが)筆圧が少し薄くなった。

[図表3]Gさん(大学2回生)のレスポンスシート

なぜこうなったのか? 1つ考えられることはこの講義に対するモチベーションがEさんやFさんでは最後の講義まで続いたのに、Gさんは持続できなかった点である。私は毎年度、この講義の最終回に受講生の取組姿勢などを別形式のシートで自己評価してもらっている(第4章では、その内容からテキストマイニングにもとづいた分析をしている)。

その際、EさんとFさんは揃って《レスポンスシートでいかに高得点取るかを毎回必死で考えた》と懐述していたが、Gさんは《レスポンスシートを書いたけど提出できないことが何回かあった》とあった。実際、EさんとFさんは毎回のシートをすべて提出(4回義務づけたレポートも全部提出)して優秀な成績で合格したのに対して、Gさんは15回中5回程度シートが未提出(4回のレポートも一部未提出)で、あと一歩のところで不合格だった。