地球型惑星が存在するには適量の宇宙線量が必要

銀河系内で電波で交信する文明を持つ惑星の数Nを表す式として、ドレイク方程式というものがある。この式は、恒星があれば確率的に、文明惑星が存在することを示している。ドレイク方程式は、太陽系外惑星が観測される前の1961年に作られたもので、この式は正直信頼できるものではないと思う。言葉が悪くなるが、思いつきで作られた印象を持つ。

ドレイク方程式 【Wikipedia を参照】

N=R*×fp×ne×fl×fi×fc×L

R* 人類がいる銀河系の中で1年間に誕生する星(恒星)
fp ひとつの恒星が惑星系を持つ割合(確率)
ne ひとつの恒星系が持つ、生命の存在が可能となる状態の惑星の平均数
fl 生命の存在が可能となる状態の惑星において、生命が実際に発生する割合(確率)
fi 発生した生命が知的なレベル、まで進化する割合(確率)
fc 知的なレベルになった生命体が星間通信を行う割合
L 知的生命体による技術文明が通信する状態にある期間(技術文明の存続期間)

右記の式は、生命の存在の条件が具体的にどういうものなのか十分検討されていない。これまでの系外惑星観測でneやflの惑星がゼロであるので、N=0なのである。当時、宇宙に関する知識が、とても乏しかったからできた式といえる。

こんな式は抹消した方がいいだろう。まじめに宇宙を考える人から見るととても不愉快である。

文明惑星の数を論ずるなら、最初に生命が誕生する惑星条件を考えるべきである。生命が誕生するには、最初に炭素C+水素H+酸素Oの化合物ができなくてはならず、この化合物ができる条件は、液体の水があればいいというものではない。

元素と元素が化合しやすくするには、原子核の中を変えてしまう適量の宇宙線が必要であると思う。

宇宙線と原子の関係例を一つ上げる。原子核の中に、陽子と中性子が同じ7個ずつ入っている窒素14(N14)がある。これに宇宙線が当たると、陽子の数が6個、中性子の数が8個の炭素14(C14)に変わる窒素原子がわずかに発生する。炭素14は、半減期5700年の炭素の同位体である。炭素14は、木造構築物がいつ頃作られたかを測定することに使われる。窒素Nの宇宙線による炭素Cの変化例である。

半減期とは、炭素C14が最初に20個含まれていた木材が、C14が10個に減る期間である。

ここでC14が5個になれば、経過時間は5700×2=11400年になる。

炭素C+水素H+酸素Oの化合物ができるかどうかは、単純な実験で確認できるはずである。

空気と水を入れた箱を3個用意し、1個は地上の宇宙線を想定したケースにし、1個は宇宙線量が多い1500mか2000mの高地に置き、残りの1個はケースの壁を厚くして宇宙線量を少なくして、化合物ができるか実験すればわかることだろう。

結果は地上の宇宙線量だと動物に必要なアミノ酸ができ、宇宙線量が少ないのは、炭素、水素、酸素の化合物ができるが、アミノ酸ではなくメチルアルコールCH3OHとなるはずだ。宇宙線量が多いのは、別の炭素の化合物ができると思う。

地上の宇宙線量でできるアミノ酸は、最も単純なグリシンC2H5NO2である。

この予想結果は、何を意味するのだろう。それは銀河系の大きさにより宇宙線量が変わるので、生物が生まれるには天の川銀河と同じ10万光年の大きさが必要だということになる。つまり、大きな22万光年のアンドロメダ銀河、小さな1.5万光年のマゼラン星雲など、何百万個あっても生物惑星はできない。

これは、地球型惑星は多いだろうと期待している方々にはたいへんな衝撃かもしれないが、そういう結果になるだろう。信頼できる研究機関での実験を期待する。