銀行に来て思うこと

転職の動機

今も昔も入社してから三年以内に辞める若手が多いと聞きます。

私も最初のコンサルティング会社は一年経たずして辞めたので気持ちはわかります。きっと「やってる仕事が自分のイメージと違う」または「職場(人間関係)が合わない」のどちらかでしょう。

社会人になってすぐ行う転職が、これまでの経験を活かしたキャリアアップにつながる転職となるはずがなく、何か不満を抱いて転職する後ろ向きな転職になるしかないのです。

私の場合、コンサルになるつもりで入社したので、新人研修で「MECE」とか「SWOT分析」とかコンサルに必要な思考方法を習ったのは想定内でした。同期と喧々囂々意見を戦わせていたりすると、

「いいぞー、いいぞー、オレも早く一人前のコンサルになるぞ」

と頑張れたのです。想定外、というか頑張れなかったのがIT関連の研修です。頭の中では理解できます、それをやる意味を。

「そりゃあそうだよなー、IBMにいてシステムわかりませんじゃ話にならないよな。しょーがない、ちょっとなら頑張ってみるか。ちょっとならね」

と当初は思いました。大学院が「国際情報通信研究科」でしたので、当然必要最低限のIT講座は受講が必須でした。所謂ITの基礎です。その程度なら会社でも受け入れることにしたのです。

ところが、いざ研修が始まってみると大学院で学んだ以上の知識・スキルが求められました。「ネットワークの基礎」とか「プログラミング」とかを習うのですが、社会人デビューしたばかりの新人に全然優しくないのです。そう感じたのは私だけかもしれませんが。

「ネットワークの基礎」で目にする数々のカタカナ言葉、意味不明過ぎて頭に入りません。

「インターネットなんて使えりゃいいじゃん、成り立ちなんて興味ねーし」

「はあ? プロトコール? 外交儀礼じゃないの?勝手に違う意味つけんなよ」

ってな具合です。

「プログラミング」の研修も似たようなものです。プログラミングがパソコンを動かすための指示であることは理解できました。しかし、実際にどうすれば動くようになるのか、説明を聞いてもよくわかりません。確か、Javaだったと思います。

「オブジェクト指向? はあ? 何それ?」

イメージが全く湧かないのです。決定的だったのは習った通りに作成すれば稼働するはずのプログラムが、私のだけ稼働しなかったことです。周りの同期はできているので、当初は自分のパソコンの調子が悪いのかと思ったほどです。

「やっぱ人間には向き不向きっていうもんがあってシステムは自分が立ち入ったらいけない世界だな。価値観の異なる夫婦がくっついても離婚するのと同じでシステムは無理」

と決めつけました。大体私はパソコンが故障した時、叩いて調子を確かめるか、精々「再起動」を選ぶだけです。じーっと待って、何も変わらなければ電話して応援を要請するだけ。

プログラミングで修理するなんて発想すらありません。