入学初日も印象的でした。日本の大学でも同様かと思いますが、各サークルが勧誘活動をしていたのです。

その中に、「GaySociety」がありました。入会するとどうなるのでしょうか。出会い系サイトに登録したかの如く、次から次へとパートナーでも紹介してくれるのでしょうか。それとも、同性愛に対する社会からの理解度向上を深めるための活動を行うのでしょうか。

目的はわからないままあとにしましたが、校内を見渡すと芝生の上で男性同士が熱くブチューッとしたり仲よく肩を寄せ合ったりしている姿が珍しくも何ともありませんでした。ここでも私は日本人ということで結構人気がありました。シンガポール出身の留学生と仲よくなると、自分が同性愛者であることをカミングアウトし、「君も同じ道を歩まない?」と誘われたことがあります。

好奇心旺盛で議論が大好きな好青年でしたが、私はそちらの道に踏み込むメンタルは持ち合わせていないので、正直に「ごめーん、俺は女だけ。男に関心は持てない」と言うと納得してもらえました。すぐ断ったのが功を奏したのか、そのあと、気まずくなることもありませんでした。

校内に限らず、オーストラリア全体が同性愛者に関して開放的です。私の会社も最近LGBTを推進していますが、あくまで海外の例が紹介されるばかりで国内の例はなく、正直「おっそー」と思っています。

シドニー大学にいた時、2000年シドニー五輪が開催されました。高橋尚子選手がマラソンで金メダルを取ったオリンピックと言えば思い出す方も多いかもしれません。あの時、産経新聞社がシドニー大学生からバイトを募集していました。記者が取材にいく時のドライバーです。

私はオーストラリアで運転免許証を取得していましたので応募したところ無事に雇っていただけることになりました。ペーパードライバーでしたのですぐに使えないことが判明したのですが、クビにならずに記者の通訳として使っていただきました。

記者会見や街頭インタビューに記者と行動を共にすることになり、自分の訳した記事が新聞に掲載されたりするのを見たりして、「記者って仕事いいかも」と思ったものです。伝えることの楽しさが体験できたバイトであり、メディアに興味が湧くようになりました。

ただ、記者は生活が不規則になるのとタバコを吸う人が多いことに気付き、自分には向いていないかもと思い直すようになりました。自分の就職活動に少なからず影響を与える経験となりました。