忘れるために

美しく晴れた冬の一日を

一筋の青い哀しみを忘れるのに使おう

雨あがりの空は文句なしの空元気

胸に流した谷水を流しに行こう

山道は雪を踏みつけた哀感

汚泥にまみれて追想も過去も

青い空に吸わせようとはいかぬようだ

ただ遠くの山々のかすみばかりはさみしくて──

山の端に沈む夕日は沈鬱で

忘れるべきものを想い出す

美しいものばかりが良いとは限らないのだ

夕暮れの山を寂寥のうちにおりる

心はなるがままにしておけ

青いものは青いままに、赤いものは赤いままに──