【前回の記事を読む】作品集「黒い花Ⅱ」より三作品

仕返し

青い空に冬の木が枝をのばし

そのテッペンでモズが鳴いてる

木枯らしが吹いていたのは昨日

今日は不思議な程おだやかな日

過去にとらわれて嘆くのはもうよそう

今日は悲しみを山に捨てんとて

はるばると坂道を登って来た

いずこにか神のなぐさめがあるのだろうか

道端に赤い実を見つけて

いつまでも見つめている

何かが又はじけて飛んだ──

心の平安が再び破れて行く

思い出したくない悲しみがまたおそって来る

何ということだ、捨てる筈の悲しみが仕返しをしてる──