本当に不思議なことに、大きく包み込むような愛が、彼女の全身から発散されているのを、フォールは感じることができました。そして今、驚いたことに、何の前触れもなく、フォールには男の感じていることが手に取るようにわかったのでした。まるで、男の心の中に、存在そのものの中にいたかのように。

それは、居心地のいい場所ではなく、不安と、障害物と、恐怖と、暗闇が男を取り囲んでいました。絶望の波が押し寄せていました。それでいて、彼は死ぬ前にどうしても言いたいことがあって、それを言えなくて、もがいていたのです。このもがきを、まるでその男の心の深みにいるかのように、わが身で体験していることが、フォールには信じられませんでした。

でも、同時に、それをいつものように上から見ている自分がいました。この残酷で非情な冷血漢は、この女の人に愛していることをどうしても伝えたいと思っていて、しかも、そうすることがすごく彼には重要なことのようでした。でも、愛は、彼には言葉にするのが難しい、よくわからないものでした。

男は何度も何度も言おうとしましたが、どうしてもうまく言えないのでした。それはまるで、大きな塊がお腹から出ようとして上がってくるのですが、喉のところで止まってしまう、いつも喉で引っかかってしまう感じでした。上から見ているフォールには、男は、水の外で必死に口をパクパクしている魚のように見えました。

この男の中には、愛を表現するのを必死で抑えようとする何かがあり、しかもその何かも、力尽きようとしていました。ついに、男はこらえきれなくなって、言葉が口を突いて出ました、まるで噴射するみたいに。

彼は顔をしわくちゃにし、両手で顔を覆いながら、苦しそうに「愛している!」と言ったのです。

彼のすすり泣きが、泣き叫ぶ声が響きました。こんなにもすごい愛の波がこの男から、改心していない連続殺人犯から、それも心から、まるで、もはや抑えられない光と喜びの噴射のように、溢れてきたのです。それは、あらがうのをやめた瞬間、愛を受け入れた瞬間でした。

すると、再びフォールの目の前に、あのホログラフィックな親指がズームアップされて現れました。鼻先で空中に浮かんでいる感じで。でも今度は、親指は完璧で無傷で、染みひとつない、健康な指で、一瞬のうちに完全に癒されたのでした。